編集&管理人・たこが独断で選ぶ
からふる演劇KAN
テーマ投稿大賞2001
みなさま、こんにちは。
当からふる演劇KANのぷるぷる掲示BANでは毎月、テーマを決めて投稿していただく「テーマ投稿」というモノがあります。去年1年間たくさんの方々にテーマ投稿をいただき、どうもありがとうございました。
掲示板の性質上、投稿が規定の数になれば古い順から消えてしまうものなのですが、中には「消えてしまうのがもったいないなあ」と思ったものがいくつかありました。その中からたこの独断で、「テーマ投稿大賞」を決めさせていただきました。
テーマ投稿大賞にみごと輝いた方には、素晴らしい賞品は用意してございませんが(笑)、その方の文章中に現れる舞台関係者の方のコメントをいただいております。
この賞は、今後も続くかどうか分かりませんが、もし続くようであればまたこういうコメントをいただく形にしたいと思っております。
なお、今回は大賞とともに、2つの入賞作品を決めさせていただきました。
大賞、及び入賞者のみなさまおめでとうございます。
今後とも「テーマ投稿」をよろしくお願いいたします。
テーマ投稿大賞2001
大賞
(TAM)さん
2月のテーマ「もう一度観たい観せたいあの舞台」
私、17歳、高校のころから、1年に50本芝居観る生活を始めまして、20歳になって、200本くらいになったときに、「芝居なんか、なに観ても同じじゃん。演劇なんか、どんなにがんばっても落語にかなわないじゃん」とかけっこう本気で思っていた時期があったのですが、そのときに雑誌のプレゼントで招待券をもらって観にいったのが、劇団おばけおばけ「馬場さんという名の恐竜」でした。
第1期土屋戯曲の最高傑作ですね。泣きました。あのラスト。
あの芝居をみなかったら、今、演劇ではなく落語をやっていたかもしれません。
きっと動員数500にもなってないでしょうけど、そのうちの1人になれたことは本当に幸運です。
もう6年前の芝居ですが、まだ「馬場さん」を超える芝居にはあたりません。
劇団おばけおばけ主宰 土屋理敬さんのコメント
ありがとうございます。
「馬場さんという名の恐竜」は、劇団内でも劇団外でも「一番好き」と言ってくれる人があまり多くなので嬉しいですね。
自分的にはけっこう好きな脚本なので。
そうですか。あれを見て芝居の道へ進んでしまいましたか。
いやぁなんと言っていいのか……。
ひょっとしたら落語のほうがよかったかも知れませんよ。
私は春風亭柳昇さんが好きでした。
ウチの芝居へいただくご意見の中には、「知らない劇団だったけど、たまたまチケットもらって行ってみたら面白かった」っていうのがけっこう多いんです。
これからは「面白いって聞いてたけど、行ってみたらやっぱり面白かった」と言われるように頑張ろうと思います。
劇団おばけおばけ 土屋理敬
からふる演劇KAN たこのコメント
(TAM)さん、テーマ投稿大賞おめでとうございます(笑)。
この文章を読んだ時、(TAM)さんの「馬場さんという名の恐竜」という作品に対する想いがとても伝わってきて、感動しました。
人生を左右してしまうほどの作品に出会えるって、本当に素敵なことですよね。
私もそういう作品に出会えたらいいなあと思います。もしかしたら、そういう作品に出会うために芝居を見続けているのかもしれませんね。
テーマ投稿大賞2001
圧倒されたで賞
はちさん
4月のテーマ「思い出の舞台」
と言いますと、まずは加藤健一事務所の「寿歌」というお芝居になりましょうか。
はじめまして。はちと申します。
成人式のアトラクションでかかったお芝居です。小劇場ブームというのが今を去ること15年以上前にございまして、この流れにのっかって成人式のアトラクションにこんなモノがかかりました。北村想さんの名作です。
テレビの劇場中継で、夢の遊眠社とかが流れた頃です。
生の舞台に触れて、その迫力に圧倒されたワタクシは、加藤健一という名前を頼りに「セイムタイムネクストイヤー」という舞台を初めて自分でお金を払って見ることになります。映画館ともまた違う、幕が開くのを待つ劇場の雰囲気が楽しかった。
そして、テレビで観てなんとも不思議な感覚を味わった(「小指の思い出」)夢の遊眠社を観て(「野獣降臨」というお芝居)をみてナマのチカラに驚き、さらには加藤健一というキーワードから引き寄せた「つかこうへい」というヒトの「熱海殺人事件」(池田成志主演)という舞台に圧倒され今に至っております。
土田さんにしても、今をときめくいのうえさんにしても、つかさんの影響を強く受けていることは、解散前のつか劇団を知らないワタクシにも理解できますし、遊眠社の舞台を観て、「あの情報量を越えるには多重会話しかない」と考えたという平田オリザさんや、「永遠の少年」というテーマに「少年」のアンチテーゼ として「大人計画」という劇団名をつけてみたとかいう松尾スズキさんなどにも今更のように世代感を感じております。
21世紀にはどんな景色を観ることができるのでしょうか。楽しみです。
それでは、これにてとりあえずご挨拶の代わりに・・・。 はち拝
からふる演劇KAN たこのコメント
いやあ、この文章にも圧倒されましたね。読んでいてグイグイ引き込まれてしまいました。
というわけで、「圧倒されたで賞」というヘンな名前の賞にしてしまいました(汗)。
はちさん、おめでとうごさいます。
「思い出の舞台」というテーマではありますが、はちさんのお芝居に魅せられていった課程がよく分かり、読んでるこっちまでワクワクしてしまうと同時に、小劇場の輝ける時代を懐かしく思い起こさせてくれる文章で、読み応え十分でした。
テーマ投稿大賞2001
すごく観たいで賞
かねPさん
10月のテーマ「舞台化してほしい作品」
こんばんは、今月は最後の方ですね。
今月のテーマについて。
あまり日頃から本を読まないのでなんですが、宮沢賢治の「永訣の朝」をモチーフにした作品を観てみたいですね。
できれば、故マルセ太郎さんの一人芝居なんていいかもしれませんね。
からふる演劇KAN たこのコメント
これは、読んで「おおっ」と思いました。
宮沢賢治のあの「永訣の朝」を、「泥の河」や「生きる」などの名作映画をまるごと一人で演じちゃったあのマルセ太郎さんの一人芝居ですぜ!
詩の舞台化っていう発想もすごいけど、あの詩はすごくドラマティックで深いんですよね。確かに芝居にできそう。しかも、マルセ太郎さんの一人芝居ってところがまた憎い。
よくそんな素晴らしい企画を思いつきましたね、かねPさんたら。もう、観てみたいじゃないですか(しかし、マルセさんではもう観られない・・・残念)。
知らない方のために参考に「永訣の朝」の詩を載せてみましたので、よろしかったらご覧下さい。
永訣の朝
けふのうちに
とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ
みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ
(あめゆじゆとてちてけんじや)
うすあかくいつさう陰惨な雲から
みぞれはびちよびちよふつてくる
(あめゆじゆとてちてけんじや)
青い蓴菜のもやうのついた
これらふたつのかけた陶椀に
おまえがたべるあめゆきをとらうとして
わたくしはまがつたてつぽうだまのやうに
このくらいみぞれのなかに飛びだした
(あめゆじゆとてちてけんじや)
蒼鉛いろの暗い雲から
みぞれはびちよびちよ沈んでくる
ああとし子
死ぬといふいまごろになつて
わたくしをいつしやうあかるくするために
こんなさつぱりした雪のひとわんを
おまへはわたくしにたのんだのだ
ありがたうわたくしのけなげないもうとよ
わたくしもまつすぐにすすんでいくから
(あめゆじゆとてちてけんじや)
おまへはわたくしにたのんだのだ
銀河や太陽 気圏などとよばれたせかいの
そらからおちた雪のさいごのひとわんを……
……ふたきれのみかげせきざいに
みぞれはさびしくたまつてゐる
わたくしはそのうへにあぶなくたち
雪と水とのまつしろな二相系をたもち
すきとほるつめたい雫にみちた
このつややかな松のえだから
わたくしのやさしいいもうとの
さいごのたべものをもらつていかう
わたしたちがいつしよにそだつてきたあひだ
みなれたちやわんのこの藍のもやうにも
もうけふおまへはわかれてしまふ
(Ora Orade Shitori egumo)
ほんたうにけふおまへはわかれてしまふ
あぁあのとざされた病室の
くらいびやうぶやかやのなかに
やさしくあをじろく燃えてゐる
わたくしのけなげないもうとよ
この雪はどこをえらぼうにも
あんまりどこもまつしろなのだ
あんなおそろしいみだれたそらから
このうつくしい雪がきたのだ
(うまれでくるたて
こんどはこたにわりやのごとばかりで
くるしまなあよにうまれてくる)
おまへがたべるこのふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが兜率の天の食に変つて
やがてはおまへとみんなとに
聖い資糧をもたらすことを
わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ
(新潮文庫「新編 宮沢賢治詩集」より)
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